ドローン測量の費用はどれくらい?項目ごとの内訳や業者の選び方も紹介

ドローン測量を使うと、従来の人力測量よりも短時間で広範囲を高精度に計測できます。
しかし、導入を検討するときの費用の目安や内訳が気になる方も多いでしょう。
ドローン本体やソフトウェアの購入費用に加え、操縦者の人件費や保険料、データ解析費用など、必要なコストは多岐にわたります。
この記事では、ドローン測量にかかる費用の相場を項目ごとに解説します。
業者選びのポイントにも目を通し、ドローン測量の費用を押さえるコツを頭に入れましょう。
ドローン測量にかかる費用は写真とレーザー測量で異なる
ドローン測量の費用は、写真測量をレーザー測量でそれぞれ異なります。両者の違いは下記のとおりです。
写真測量:高解像度カメラで撮影した画像を解析し、3Dデータを生成する比較的低コストな測量方法
レーザー測量:レーザーを照射して高精度な3D点群データを取得する、精度と費用両方が高めの測量方法
それぞれにかかる必要を解説します。測量方法を選ぶうえでの参考にしてください。
写真測量の場合|1ヘクタールあたり約20万〜40万円が目安
写真測量は、ドローンに搭載した高解像度カメラで地表を上空から撮影し、撮影した画像を解析して3Dデータやオルソ画像を生成する方法です。
平地や造成地など、障害物の少ない現場での利用に適しており、比較的低コストで実施できます。
費用は1ヘクタールあたり約20万〜40万円が相場で、4ha程度の現場ならデータ解析を含めて50万円前後が目安です。
ただし草木の下や建物の影など、カメラから見えない箇所の情報は取得が難しいため、現場条件によっては精度がやや低下するケースがあります。
低予算で効率的な測量を行いたい場合や、平坦地のデータ取得に向いている手法です。
レーザー測量の場合|1ヘクタールあたり約50万円〜が目安
レーザー測量は、ドローンに搭載したLiDAR(Light Detection and Ranging)センサーからレーザーを照射し、地表までの距離を計測して高精度な3D点群データを生成する方法です。
樹木や草木の下に隠れた地形まで正確に把握できる点で、山間部や森林、災害現場などで特に重宝されます。
費用は1ヘクタールあたり約50万円〜が一般的で、広範囲かつ詳細な解析を行う場合は300万円以上になることもあります。
精度が非常に高い反面、使用する機材や解析技術が高額なため、コストは写真測量に比べて高めです。
正確な地形データが求められる場合や複雑な地形を扱う場合に適した測量方法です。
ドローン測量の費用内訳
ドローン測量にかかる費用の内訳は下記のとおりです。
- 機材購入費
- ソフトウェア・ライセンス費
- 人件費
- 講習費
- ドローン保険・メンテナンス費用
それぞれの費用相場に目を通し、初期投資の計算や外注先選びの参考にしましょう。
機材購入費
ドローン測量では、用途に応じた機材を購入する必要があります。
写真測量向けのエントリーモデルなら20〜50万円程度ですが、高精度な測量を行うにはGPS搭載モデルやRTK対応機、さらにLiDARセンサー搭載機などが必要となり、100〜1,000万円以上になるケースもあります。
用途や精度の要求に応じてドローンを選ぶことが重要です。
ソフトウェア・ライセンス費用
取得した画像や点群データを解析するためには、専用の測量ソフトウェアが必要です。
買い切り型は40万円前後が相場で、クラウド型やサブスク型は年間20〜50万円程度かかります。
精度や機能の違いで価格差が大きいため、必要な解析レベルに合ったソフトを選ぶことが大切です。
人件費
ドローン操縦者や補助員を含む人件費は、1日あたり5〜15万円が目安です。
特に高精度なレーザー測量では、操縦者のスキルやデータ解析スキルが必要になるため、費用が高くなる傾向があります。
外注する場合は、複数の業者へ相見積もりを取って内訳を確認しておくと安心です。
講習費
自社でドローン測量を行う場合は、操縦者の講習費用も必要です。
ドローンの国家資格や民間ライセンス取得には、1つあたり5〜30万円ほどの費用がかかります。
資格があると測量精度の向上や安全対策にもつながります。
ドローン保険・メンテナンス費用
ドローン測量では事故や機体損傷のリスクがあるため、賠償責任保険や機体保険への加入が推奨されます。
保険料は年間数千円〜数万円程度で、加えてプロペラ交換やバッテリーなどのメンテナンス費用も必要です。
高額な機材を扱う場合は、万が一に備えて手厚い補償を選ぶと安心です。
ドローン測量を外注するときのチェックポイント
自社でのドローン導入が難しい場合は、プロの業者へ依頼するのがおすすめです。ドローン測量を外注するときは、下記のポイントに注意する必要があります。
- ドローン測量の実績が公開されているか
- 測量士の資格を持つスタッフが在籍しているか
- アフターサポート体制は整っているか
- 他業者との価格差はどれくらいか
- インターネットやSNS上の口コミはどうか
業者選びで失敗しないよう、比較対象となるポイントを押さえておきましょう。
ドローン測量の実績が公開されているか
外注先を選ぶ際は、公式サイトやパンフレットなどで過去の測量実績が公開されているかを必ず確認しましょう。
実績が豊富な業者は、多様な地形や条件での測量経験を持っているため、現場に適した方法や解析手法を提案してくれる可能性が高いです。
具体的には、施工面積や用途、使用した機材、取得したデータのサンプルなどが掲載されているかどうかをチェックします。
依頼する場所同様の規模・条件の現場での測量事例があるかも重要です。
情報が公開されている業者は信頼性が高く、依頼後のトラブルリスクを減らせます。
一方で、実績が不明確な業者は、納期遅延やデータ精度の低下などのリスクを抱える可能性があるため注意が必要です。
測量士の資格を持つスタッフが在籍しているか
ドローン測量ではデータ収集だけでなく、取得した情報を正確に解析・加工するスキルも重要です。
国家資格である測量士や測量士補が在籍しているかは、業者選びの大きな判断基準となります。
資格保持者がいる業者は、現場での標定点設定や高度な解析、法令に基づいた成果物の作成に対応できるため、正確性や信頼性が高まります。
公共施設の工事や自治体案件では、測量士の資格があることが必須条件となるケースも少なくありません。
資格者の人数や実務経験も合わせて確認しておくと、より安心して依頼できます。
無資格のオペレーターのみで対応する業者は、データ品質が安定しないリスクがあるため注意が必要です。
アフターサポート体制は整っているか
ドローン測量では、データの納品後に追加解析やデータ形式の変換を求められるケースが少なくありません。
そのため、アフターサポート体制が整っている業者かどうかを事前に確認しておくことが重要です。
具体的には、納品データの再解析対応、CADやGIS用データ形式への変換、トラブル時の迅速な対応などが可能かをチェックします。
また、測量範囲の追加や再測定が必要になった場合の費用や納期についても、契約前に明確にしておくと安心です。
アフターサポートがしっかりしている業者であれば、納品後のやり取りもスムーズに進み、データ活用の幅も広がります。
逆に、サポートが不十分な業者を選んでしまうと、納品後に想定外の追加コストや時間が発生する可能性があるため注意が必要です。
他業者との価格差はどれくらいか
ドローン測量の費用は、写真測量かレーザー測量かによって大きく変わりますが、同じ測量方法であっても業者間で料金差が生じることがあります。
そのため、外注を検討する際は最低でも3社以上から見積もりを取り、内容と価格を比較することが重要です。
比較する際は、単純な金額だけでなく、下記なども含めて総合的に判断しましょう。
- 測量範囲
- 測量精度
- データ解析レベル
- 納期
- 成果物の形式など
また、極端に安価な業者は、解析精度が低かったり、サポート体制が不十分だったりする場合があるため注意が必要です。
一方で、高額な業者が必ずしもベストとは限らないため、見積書の内訳を細かく確認することが大切です。
費用対効果を見極めることで、最適な業者選びが可能になります。
インターネットやSNS上の口コミはどうか
実際にその業者を利用した人の口コミやレビューは、業者選びの重要な判断材料になります。
公式サイトだけでなく、Googleマップ、口コミサイト、SNSなどでの評価をチェックしましょう。
納期の正確さ、データ精度、スタッフ対応の丁寧さ、トラブル時のサポートなど、実際の利用者だからこそ分かる情報が得られます。
また、ネガティブな口コミがあった場合は、その内容と業者の対応方法を確認することがポイントです。
誠実に改善対応をしている業者であれば、安心して依頼できます。
口コミを参考にすることで、公式情報だけでは分からない業者の実態を把握でき、依頼後のミスマッチを防げます。
ドローン測量に関してよくある質問
最後に、ドローン測量に関してよくある質問へ回答します。
ドローン測量は資格なしでもできる?
ドローン測量自体は、必ずしも資格がなければできないというわけではありません。
国土交通省への飛行許可や承認を得たうえで、機体を安全に操縦できるスキルがあれば測量は可能です。
ただし、測量データを公共工事などで正式に利用する場合は、測量士や測量士補といった国家資格保持者が関与することが求められるケースがあります。
また、2022年12月から施行されたドローンの国家ライセンス制度(二等・一等無人航空機操縦士)により、特定飛行や高度な運用には資格が必要になる場合もあります。
精度の高いデータ取得や法的リスク回避のためには、資格保有者に依頼するか、資格を取得したうえで運用するのがおすすめです。
自社でドローン測量を始めるなら初期予算はどれくらい必要?
自社でドローン測量を導入する場合、必要な機材やソフトウェア、講習費用などを含めるとおおよそ200万円〜1,000万円以上かかります。
例えば、写真測量用のエントリーモデルなら20〜50万円程度で購入できますが、RTK対応やLiDAR搭載モデルになると100〜1,000万円以上が相場です。
さらに、測量データを解析するためのソフトウェアは年間20〜50万円、操縦者の講習費は5〜30万円程度かかります。
保険料やメンテナンス費も年間数万円ほどかかるため、単発で測量を行うのであれば外注した方がコストを抑えられるケースも多いです。
導入頻度や精度要件に合わせて、購入と外注を比較検討することが大切です。
ドローンで1日に測量できる面積はどれくらい?
1日に測量できる面積は、使用するドローンの性能や測量方法、現場条件によって大きく変わります。
写真測量の場合、一般的なマルチコプタータイプで約10〜30ヘクタール/日が目安です。
一方、レーザー測量(LiDAR測量)の場合は、取得するデータ量が多く高精度なため、1日あたり5〜15ヘクタール程度になることが多いです。
ただし、飛行禁止区域の有無やバッテリー交換回数、風速や天候条件によっても実測可能範囲は変動します。
広大な範囲を効率的に測量したい場合は、飛行時間が長い固定翼タイプのドローンを選ぶと50ヘクタール以上/日の測量も可能です。
事前に現場条件を確認し、適切な機材と方法を選日ましょう。
ドローン測量で項目ごとにかかる費用の相場を知っておこう
ドローン測量にかかる費用は、測量方法や導入形態によって大きく異なります。
写真測量は比較的低コストで、1ヘクタールあたり約20〜40万円が目安です。
一方、レーザー測量(LiDAR測量)は高精度なデータが取得できる反面、1ヘクタールあたり約50万円〜と費用は高めになります。
単発での利用なら業者への外注、頻繁に測量を行うなら自社導入といった形で、目的に合わせた判断が必要です。
ドローン測量を成功させるには、費用相場を把握し、必要な精度とコストのバランスを見極めることが大切です。