航空写真測量の活用事例5選|都市計画・災害調査・遺跡調査での活用方法

航空写真測量は、航空機などから撮影した写真を利用して、地形や建物の位置・形状・高さなどを計測する測量方法です。
一度の撮影で広い範囲の情報を取得できるため、都市計画や災害調査、遺跡調査、建設・土木工事、インフラ維持管理など、さまざまな分野で利用されています。
ただし、航空写真測量という言葉を知っていても、「具体的にどのような業務で使われているのか」「地上測量とは何が違うのか」まではイメージしにくい方もいるでしょう。
そこで本記事では、航空写真測量の代表的な活用事例を5つ紹介します。
実際に取得したデータが何に使われているのかもあわせて解説するので、航空写真測量の導入や活用方法を検討している方は参考にしてください。
航空写真測量の活用事例①都市計画図・3D都市モデルへの活用
航空写真測量の代表的な用途のひとつが、都市計画や国土整備に必要な地形データの取得です。
自治体では、都市計画や道路整備、土地利用の検討などに地形図や都市計画図が使われています。
航空写真測量なら市区町村全域のような広い範囲をまとめて撮影できるため、広域の地形や建物を把握したい場合に適しています。
近年では、2次元の地図だけでなく、建物や地形を立体的に表現する3D都市モデルの整備にも航空写真測量のデータが利用されています。
都市計画図・地形図の作成
都市計画図を作成する際には、道路や建物、河川、土地利用の状況など、街を構成するさまざまな情報が必要です。
航空写真測量では、上空から撮影した写真をもとに広い範囲の地形や構造物を記録できます。
市町村全域を同じ条件で撮影しやすいため、広域の地形図を整備する際にも利用されています。
作成した地図は、用途地域の指定や区画整理事業、道路整備などを検討する際の基礎資料として使用されます。
また、同じ地域を定期的に撮影しておけば、新しい道路や建物の建設、土地利用の変化なども比較できます。
街の現状を記録するだけでなく、時間の経過による変化を確認できる点も航空写真測量の特徴です。
3D都市モデル(PLATEAU等)の整備
航空写真測量で取得したデータは、3D都市モデルの作成にも利用されています。
代表的な取り組みとして挙げられるのが、国土交通省が推進している「PLATEAU」です。
PLATEAUでは全国各地の都市を3Dデータとして整備しており、建物や地形の形状を表現する際に航空測量などによって取得された情報が活用されています。
3D都市モデルでは、平面の地図だけでは分かりにくい建物の高さや街区の立体的な構造も確認できます。
こうしたデータは、都市計画や防災対策をはじめ、観光分野やさまざまなシミュレーションにも利用されています。
航空写真測量の仕組みや測量方法について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
航空写真測量の活用事例②遺跡・遺構図の作成

航空写真測量は、考古学や文化財保護の分野でも使われています。
古墳や城郭跡、集落跡などは範囲が広く、地上から見ただけでは全体の形や遺構同士の位置関係を把握しにくい場合があります。
上空から撮影する航空写真測量を利用すれば、遺跡全体を俯瞰しながら地形と遺構の位置を記録できます。
取得したデータは、発掘調査だけでなく、文化財の保存や研究資料の作成にも利用可能です。
古墳・城郭跡・遺跡群の記録
広い範囲に点在する古墳群や城郭跡などでは、地上からの測量だけで全域を記録するには多くの時間を要します。
航空写真測量では、上空から対象地域を撮影することで、遺構の配置や大きさを周辺の地形とあわせて確認できます。
たとえば古墳群であれば、それぞれの古墳の位置や形状、周囲の地形との関係を記録する用途に利用できます。
城郭跡の場合も、曲輪や堀、土塁などがどのように配置されているのかを広い範囲から確認しやすくなります。
地上からでは把握しにくい遺跡全体の構造を記録できることから、調査範囲の広い文化財との相性がよい測量方法です。
文化財の保存・管理や学術研究での活用
航空写真測量によって取得した写真や3次元データは、調査時点の遺跡の状態を残す記録資料としても利用できます。
同じ場所を異なる時期に撮影すれば、地形の変化や遺構の状態を比較することも可能です。
そのため、発掘調査だけでなく、文化財を長期的に保存・管理するための資料としても役立ちます。
また、取得したデータから作成した3Dモデルは、研究資料やデジタルアーカイブ、一般向けの展示・解説資料などにも利用されています。
オルソ画像を作成すれば、写真上で位置関係や距離を確認できるため、発掘調査を計画する際の資料として使用することもできます。
オルソ画像の特徴については、以下記事も参考にしてください。
オルソ画像とは?仕組みや活用事例・作成の流れをわかりやすく解説
航空写真測量の活用事例③災害状況図の作成
地震や豪雨、土砂災害などが発生した際にも、航空写真測量が活用されています。
大規模な災害では、被害が広い範囲に及ぶことも少なくありません。
さらに、道路の寸断や土砂崩れによって、地上から現場へ入れないケースもあります。
航空機から撮影すれば、地上から近づくことが難しい地域を含めて広範囲の状況を確認できるため、被害状況を把握する手段のひとつとして利用されています。
広範囲の被災状況の把握
災害発生後の調査では、「どこで」「どの程度の被害が発生しているのか」を把握する必要があります。
航空写真からは、土砂崩れが発生した場所や浸水した範囲、建物被害の分布などを確認できます。
広い範囲を上空から撮影できるため、複数の地域に被害が及んでいる場合でも全体像を整理しやすい点が特徴です。
取得した写真や測量データをもとに災害状況図を作成すれば、復旧工事や被害調査を進める際の資料として利用できます。
道路が通行できない地域や、二次災害の危険がある場所へ無理に立ち入らずに情報を取得できることも、航空写真を使う利点です。
災害前後の比較と防災計画への活用
災害前の航空写真や測量データが残っている場合は、以下などの災害後に撮影したデータと比較できます。
- 地震による地形の変化
- 豪雨による河川の氾濫範囲
- 土砂崩れによる斜面や地形の変化
被災前後を比較することで、災害によってどの範囲が変化したのかを把握しやすくなります。
取得した情報は復旧工事だけでなく、ハザードマップの更新や河川・砂防施設の整備、今後の防災計画を検討する際の資料としても利用できます。
また、災害調査では航空機だけでなく、ドローンによる写真測量が使われる場合もあります。
両者の違いについては、以下の記事もご覧ください。
航空機とドローンの写真測量はどう違う?特徴と選び方をわかりやすく解説さい。
航空写真測量の活用事例④i-Constructionへの活用
建設・土木分野では、ICTを活用して施工の効率化を図る「i-Construction」が進められています。
工事現場では、施工前の地形確認から施工中の進捗確認、工事完了後の出来形管理まで、さまざまな場面で3次元データが使用されます。
航空写真測量で取得した写真から点群データなどを作成すれば、広い工事現場の形状を3次元で把握できます。
起工測量・進捗管理・出来形管理での活用
工事を始める前には、現場の地形を把握するための起工測量が行われます。
航空写真測量を利用して現況地形の3次元データを作成すれば、設計データとの比較や土量計算などに利用できます。
施工中に定期的な撮影を行えば、工事がどこまで進んでいるのかをデータ上で確認することも可能です。
完成後は、取得した3次元データと設計データを比較し、施工した形状や高さなどを確認する出来形管理にも活用できます。
このように、工事の一時点だけではなく、施工前から施工後まで同じ3次元データを使って現場を管理できる点が特徴です。
なお、出来形管理では求められる位置精度が定められている場合もあるため、必要な精度に応じて撮影方法や測量方法を選ぶ必要があります。
広範囲の測量作業を効率化
広大な造成地や土木工事現場を地上から測量する場合、現場内を移動しながら多数の地点を計測する必要があります。
航空写真測量では上空から広範囲を撮影できるため、対象範囲によっては地上測量だけで対応する場合よりも効率よくデータを取得できます。
また、取得したデータをデジタルで保存しておけば、工事終了後も維持管理や補修計画を検討する際に再利用できます。
ただし、航空写真測量ですべての測量を代替できるわけではありません。現場の広さや必要な精度、構造物の形状などを踏まえ、地上測量やドローン測量と使い分けることが重要です。
ドローン測量で求められる精度については、以下の記事をチェックしましょう。
ドローン測量の精度はどれくらい?基準値と誤差を抑える4つのポイントも紹介ください。
航空写真測量の活用事例⑤インフラの維持管理
道路や河川、ダムなどのインフラを管理する際にも、航空写真測量が利用されています。
長い道路や河川のように対象範囲が広いインフラは、すべてを地上から確認するだけでも時間がかかるでしょう。
航空写真を利用すれば、広い範囲の状況をまとめて記録できるため、点検や維持管理に必要な情報を収集する手段として活用できます。
道路・河川など広域インフラの状態把握
航空写真測量は、道路網や河川、海岸など、広範囲にわたるインフラの状況確認に利用できます。
定期的に同じ範囲を撮影しておけば、過去の写真と現在の写真を比較することも可能です。
たとえば、道路周辺の地形変化や堤防の形状、斜面の変化などを確認する際の資料として利用できます。
航空写真だけでなく、オルソ画像や3次元データとして整備すれば、場所や距離、高さなどを確認しながら調査することもできます。
ただし、ひび割れなどの細かな損傷を確認する点検については、必要に応じて近接目視やドローン、その他の点検方法と組み合わせる必要があります。
航空写真測量は、広域の状況を把握する用途に向いた方法と考えると分かりやすいでしょう。
定期撮影による経年変化の確認
インフラは完成時の状態を記録するだけでなく、その後どのように変化しているかを確認することも重要です。
同じ地域を継続的に撮影すれば、過去と現在の状況を比較できます。
河川や堤防、斜面などを長期的に記録しておくことで、地形や周辺環境に変化が生じていないかを確認する資料になります。
こうしたデータは、補修工事を検討する際や、今後の維持管理計画を立てる際にも使用できます。
対象範囲が広いインフラほど、上空から面的に情報を取得できる航空写真測量の特徴を活かしやすい分野です。
航空写真測量のご相談は「有限会社オオヤマグラフ」へ
広い範囲の地形や構造物を記録できる航空写真測量は、さまざまな分野で利用されており、代表的な活用事例は以下のとおりです。
- 都市計画図・3D都市モデルの作成
- 遺跡・遺構図の作成
- 災害状況図の作成
- i-Constructionでの3次元データ活用
- インフラの維持管理
必要となる撮影方法や精度、成果物は、測量を行う目的や対象地域によって異なります。
航空写真測量を依頼する際は、「何を調べたいのか」「取得したデータを何に使うのか」を整理したうえで、適した測量方法を選ぶことが重要です。
有限会社オオヤマグラフでは、航空写真測量を中心に、目的に応じた測量・データ作成に対応しています。
都市計画に使用する地形データの取得をはじめ、災害調査や3次元データの作成など、用途に合わせたご相談が可能です。
航空写真測量を検討しているものの、必要な撮影方法や成果物が分からない場合も、まずはお気軽にお問い合わせください。
